研究活動

研究活動の4ステップ

本研究は研究の背景・意義で述べた5点をベースに、渋谷-青山都市領域を具体的な対象として学際的研究を進展させ新たな研究拠点を構築するとともに、基礎的データの蓄積・公開を積極的に行いつつ、青山学院大学として今後の当該領域の都市ガバナンスを牽引することによって大学都市への貢献を果たすことが目的となる。そのために次の①から④の4つのステップを考えている。

①拠点形成のための恒常的研究組織の設置(2018年度)

 必要な国内外の専門家の招聘・参画要請を行いながら、恒常的な研究組織づくりと運営に着手する。HPの作成、定期的電子版ニューズレター発行の準備(活動報告、研究成果概要の発表、シンポジウム開催通知など)、今後整備するGISを基礎に据えたデータベースデザイン、データ入手などに着手する。このスタート段階から若手研究者や大学院生・学生を調査団として組織し人材育成をはかる。

②基礎的データの収集・蓄積(2018~2019年度)

 第一に、東急との協力関係のもと各種史料やデータの提供を受け、民間ディベロッパーによる市街地開発の実態解明を行う。東急とは2018年度から自主的な勉強会を開始し、今後定期的な研究会を予定している。第二に、行政の取り組みについて、東京都公文書館の史料調査ほか、渋谷区・港区の協力を得て行政文書の発掘を行う。第三に、商店会、自治会などの地域団体の史料調査を行う。先行する「渋谷学」の実績を共有するため國學院大學関係者の協力を得る。第四に、明治神宮研究所の関係史料の発掘に努める。基礎データは都市領域アーカイブとしてマッピング可能なGISデータ形式で蓄積しながら、古写真や映画・TVフィルム等画像データも収集する。このような総合的な試みは、都市アーカイブとしてはわが国初の試みとなる。

③研究論題の抽出と分析・公表(2018~2019年度)

  • 1.渋谷-青山の近現代都市史:従来の空白である渋谷-青山都市領域の形成史を明らかにする。2018年7月21日青山学院にて海外専門家5名を招聘して「東京オリンピックを超えて」と題した国際シンポジウムを開催した。2019年秋にはドイツ・バウハウス創立100周年記念シンポジウムに参加し、成果の一部を発表する予定である。バウハウスは建築・都市モダニズムの震源地、研究内容と深い関係をもつ。
  • 2.渋谷-青山における社会的共通資本と文化資本(都市文化としてのイベント、ファッション、ガストロノミー):すでに蓄積された都市文化資本の洗い出しと今後の資本形成予測をおこなう。
  • 3.渋谷-青山の都市領域マッピング:基礎データの収集で蓄積した都市アーカイブを可視化する。GISベースに多層マッピング作業を行う。データはモバイル機器上で作動するソフトを介して実際の町歩きで利用可能なものとする。
  • 4.都市開発におけるアクター分析:都市開発を担う行政・企業はもとより地域住民・大学などが果たすべき役割を明らかにする。20世紀都市が目指してきた巨大都市開発の方向とは異なるベクトル(調整型小規模連担、21世紀型田園都市論、大学連携都市、モード都市、イベント都市)の可能性を探る。そのために東急沿線調査、渋谷-青山領域調査をおこなう。
  • 5.比較研究:国内外の類似ケースとの比較研究を行い、渋谷-青山の特性をあぶり出す。2018年度はドイツの住宅地形成と大学都市の比較研究のため現地調査を実施する。

④成果の公表と国際的研究集会の開催、オリンピックにむけてのイベント開催(2019~2020年度)

 上記1.~5.の研究成果は、外部講師も招聘し2019年の研究集会とプレ・シンポジウムにて発表し、2020年度はオリンピック開催年に合わせて、総まとめの国際シンポジウムを開催するとともに、都市史学会での発表(2019・20年)、出版物、デジタルマップ、学生参加型イベントとして公表する。地域ガバナンスの方向性を提案し広く成果を発信する。2021年度に成果を報告書にまとめる。

青山学院大学への貢献

青山学院大学はいまや東京のなかで渋谷-青山というもっともプレステージの高い地区に立地する都市型大学として認知されるに至ったが、その内実はまだ整っていない。本研究企画は青山学院大学が潜在的に有するプレステージの中身を実証的な学術研究と産学共同の実践的成果によって明示化し、今後当該地域の重要なアクターのひとつとして21世紀の大学が果たすべき役割を自覚することが目標である。研究拠点形成のなかで、若手研究者の育成はもとより、新しい都市型ビジネスモデルの開発や人材を本学から輩出することが期待できる。

これまでに実施された研究会

開催日 議題 発表者
2019年3月6日 「東急沿線の駅勢圏別将来人口推計について」(東急×青学研究会③) 井上孝(青山学院大・教授)、小松真治(青山学院大・M2)
2019年5月15日 「東急電鉄が実施している不動産コンサルティング」「戦後における都市生活の変化と青山」(東急×青学研究会④) 平江良成(東急電鉄開発事業部・統括部長)、永山のどか(青山学院大・教授)
2019年5月19日 南青山の建築と街区構成①(調査) 小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年6月5日、6月7日 渋谷区青山通り付近の建築と街区構成①(調査) 伊藤毅(青山学院大・教授)、小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年6月12日 南青山の建築と街区構成②(調査) 小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年7月17日、7月19日 渋谷区青山通り付近の建築と街区構成②(調査) 伊藤毅(青山学院大・教授)、小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年7月24日 「渋谷未来デザインとは」「渋谷・青山の都市文化」(東急×青学研究会⑤) 金行美佳(日建設計、渋谷未来デザイン)、黒石いずみ(青山学院大・教授)
2019年7月29日、8月3日、8月5日、8月20日、9月25日 南青山の建築と街区構成③(調査) 小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年10月23日、11月6日 渋谷区青山通り付近の建築と街区構成③(調査) 伊藤毅(青山学院大・教授)、小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年10月24日 「渋谷-青山領域調査報告―調査範囲の小規模地主類型を中心に―」(東急×青学研究会⑥) 小島見和(青山学院大・特別研究員)
2019年11月15日、12月6日 「渋谷区青山通り付近の建築と街区構成④(調査) 伊藤毅(青山学院大・教授)、小島見和(青山学院大・特別研究員)
2020年2月28日 「渋谷-青山における人々の行動」(東急×青学研究会⑦) 太田浩史(建築家)、伊藤香織(東京理科大・教授)
2020年4月25日 コロナ禍における共同研究の進め方(メール審議) 伊藤毅(青山学院大・教授)、高嶋修一(青山学院大・教授)、黒石いずみ(青山学院大・教授)、井上孝(青山学院大・教授)、永山のどか(青山学院大・教授)、小島見和(総合文化研究所)
2020年5月21日 コロナ禍における共同研究の進め方、研究企画案審議(Zoom会議) 伊藤毅(青山学院大・教授)、高嶋修一(青山学院大・教授)、黒石いずみ(青山学院大・教授)、井上孝(青山学院大・教授)、永山のどか(青山学院大・教授)、小島見和(総合文化研究所)
2020年7月14日 渋谷駅中心地区再開発事業と観光支援施設shibuya-sanについて(Zoom会議) 前田麻衣子(東急不動産)
2021年1月13日 コロナ禍における共同研究の進め方、2021度に向けて(メール審議) 伊藤毅(青山学院大・教授)、高嶋修一(青山学院大・教授)、黒石いずみ(青山学院大・教授)、井上孝(青山学院大・教授)、永山のどか(青山学院大・教授)、小島見和(総合文化研究所)